Paris, 1937

2008年5月28日 (水) Frgamentos puentefuente


     ニューヨークのMOMAからスペインに返還された『ゲルニカ』をはじめて見たのは、プラド美術館別館で、だだっ広い展示室の一面に設置されていた巨大な奥行きのある防弾ガラスのなかにあったけれど、離れて遠くから見たり、ガラスに近づいてみたりすることが出来た。その他の壁面にはゲルニカの一連の習作で埋め尽くされていた。防弾ガラスがあったものの、絵画から振動が伝わってくる印象があったのを覚えている。

     現在は、レイナ・ソフィア美術館に防弾ガラスなしで展示されているこの大作は、 スペイン市民戦争中の1937年パリで開かれた万博のスペイン館に展示されていた。万博のテーマは、【芸術と技術の国際展覧会】。スペイン館の入り口に は、フリオ・ゴンサレスの彫刻『モンセラッ(ト)』、ピカソの彫刻『女の頭部』、アルベルト・サンチェス (Alberto Sánchez) の彫刻  『スペインの民には星へ導く道がある』 («El pueblo español tiene un camino que conduce a una estrella»)が展示。ゲルニカのあった地上階回廊の中間にはカルダーの『水銀の泉』、また、出版部門にはフェデリコ・ガルシア・ロルカの大きな肖 像画が掛けられ、『イグナシオ・サンチェス・メヒーアスへの哀悼歌』が展示され、大衆美術と工芸部門の区域には、スペインの各地方を表現したジョセップ・ レナウ作のフォトモンタージュの展示。共和国政府は、ブニュエルにスペイン館での映画上映会の企画を委任し、Jean Paul Dreyfus監督の映画『スペイン・1936』(Espagne 1936、ジャン・ポール・ドレイフとルイス・ブニュエルの脚本)も上映されていたそうだ。
 

     スペイン館の二階には、スペインの造形美術と大衆美術 の展示がなされ、二階から一階に降りていく踊り場の壁にミロが壁面に即興で描いた壁画大作《El payés catalán en revolución»があった。(この作品は現在は残っていないそうだ)。一階は、経済活動、国富、統計、農業、教育、計画、公 共医療などスペインについての案内の展示室に当てられた。

     レイナ・ソフィア美術館のゲルニカの展示室の改装計画が発表された。現在隣りの 展示室との仕切りとなっている壁を取り除いて奥行きを広げ、同じ空間にアレキサンダー・カルダー作の『水銀の泉』のオリジナル模型とパリ万博のスペイン館 模型の展示、前述の映画『スペイン1936』とバシリオ・マルティン・パティーノ監督、1971年製作映画『戦争後のための唄』(Canciones para después de una guerra)を上映することや、『ゲルニカ』にあてられている照明をかえることが、計画となっている。
     このゲルニカの展示室の改装工事が実行されるのは、予算の関係で未定となってい るものの、ここ何年と話題になっていた、リチャード・セラの38トン四塊の鋼鉄彫刻のレプリカは10月には展示公開される。この彫刻『Equal Parallel/Guernica-Bengasi』 (1981)のオリジナル彫刻は、レイナソフィア美術館の所蔵作品なのだけれど、委託美術品保管 会社の蔵庫に保存されていたはずの作品の行方が不明となり、リチャード・セラがレイナ・ソフィア美術館のためにレプリカを制作したもの。このレプリカは、 先のMOMAでのリチャード・セラ回顧展で展示された。オリジナルが何処にあるのかは現在も分かっていないらしい。また、現在ビルバオ・グッゲンハイム美術館で開催されている《フアン・ムニョス回顧展》も、2009年にはレイナ・ソフィア美術館で開催される。

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