Veranos de la Villa II


2009年7月 3日 (金) Fragmentos puentefuente


ロベルト・ベニーニ 
Tutto Dante

     今週三日間、マドリード夏の祭典のプログラムに組み込まれていた、映画監督・喜劇役者ロベルト・ベニーニによる独り舞台「全部ダンテ」が上演され た。舞台は二部に別れ、今日起こっているトピックスを即興で語るものと、ダンテの「神曲」の地獄篇第五章の朗読と即興解釈。語りはイタリア語(ベニー二は トスカーナ出身)、「神曲」はスペイン語の字幕付き。マドリードに来る前に電話で行われたインタビューの内容をちょっとメモ。
質問 ベルルスコーニは映画のための実にいい人物像ですよね? 
答  まったくその通りです!!もっとも偉大であり、彼は最大なる道化師ですよ。彼は偉大なんですよ!! 本当に大人物で、そんな彼と張り合うこと も出来ないので、僕は「神曲」をうたわなければならないのです。ベルルスコーニに関してラッキーなのは、彼の言ったまま繰り返して舞台で語ることで、もう 完璧なるショーになってしまうのですよ!
質問 あなたはダンテのこの作品を長い間朗読していますが、初めてこの詩を詠んだ時のことを憶えてますか? 
答 もちろんですとも!! 幼いときで、12歳ころです。いつも母は、暗誦するまでダンテの詩を勉強しなさい、と言っていました。僕にとってはダン テは神様でした!祖父母も、彼の詩を熟知していて家で声を出しながらうたっていました。僕の祖母は革新的な女性で、通りを歩くのに、片方のポケットにはピ ストルを、もう片方には「神曲」を入れていたんです。 
質問 ピストルですか 
答 あの頃は物騒な時代でした。祖父は戦場にいて、祖母は独りでした。僕の祖母は家族の中でも伝説的な女性だったんです。ダンテは詩人でした、そし て「神曲」は百科事典だったのです。最初は何もわかりませんでしたよ。それで音楽のように何度も声を出して繰り返し朗読しなければなりませんでした。「神 曲」はクラシック音楽と現代音楽の組み合わせで、ベートーベンとジミ・ヘンドリックスを混ぜたような、ビージーズとバッハを一緒にしたような!! プッ チーニとデューク・エリントンとか!! 
質問 フェリーニとの「ボイス・オブ・ムーン(月の声)」1989年の撮影を終えてすぐにあなたはこういいましたね。「即興とは数学と同じで精密科学である」。このショーでは即興をしますか?そしてその精密科学の公理とはどんなものでしょう? 
答 よい即興を準備するためには僕には少なくとも一ヶ月は必要です。急ごしらえは出来ないのです。もしも急ごしらえするなら高く飛べることは出来て も、ぶち当たってしまうことがあるんです。即興のための準備が必要なんですよ。それが撞着語法(オキモロン)であり、矛盾というものです。舞台の上では、 いつでも扉を開けておくんです。そしてその瞬間に起こること、あるいは前の日に起こったことでも僕にはそれでOKです。二時間ごとにニュースになるベルルスコーニを放っておけるもんですか! 
質問 「ライフ・イズ・ビューティフル」のグイドから「人生は、奇跡の詩(虎と雪)」の詩人、あるいはジム・ジャームッシュの「ダウン・バイ・ ロー」のイタリア人をも含めてですが、演じる役柄の人物像の基本的な礎は無邪気さです。あなたは確かなる無邪気さを保ち続けていると思いますか? 
答 僕が無邪気さを保ち続けているかどうかわかりません。僕は奇跡を信じています。人生は奇跡です。仰天することを持ち続けています。この驚異と言うものが芸術の原点です。あなたが無邪気なら子供のように言いたいことを言えるわけです。飛ぶことだって出来るんですよ。

エル・パイス 2009年6月29日

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